旭川空港は優れた景観の中にある空港である。個人的にはもっとも北海道らしい風光に恵まれた空港だと思う。とりわけ晴れた日に南東方向から滑走路34へ進入する時の機窓景観は素晴らしい。富良野から美瑛にかけての丘陵地帯に広がる田園風景、そしてそれを縁取る十勝岳や大雪山の山岳景観はこれが北海道ではなくてどこが北海道なんだ、といった有無を言わせぬ迫力である。そしてなによりも美しい。もし冬であれば凍てついた白と黒だけの静寂な世界だが、その厳しさに満ちた眺めもどこか人を惹きつけてやまない不思議な魅力がある。空港をあとにして旭山動物園や美瑛の丘に急ぐのもいいが、空港ほど近くにある三浦綾子記念文学館もぜひ一度訪れてみてほしい。樹林に囲まれた閑静な環境の中で、北海道を代表する作家の息吹にふれることができる。